人を選ぶのは結局人の“情”の部分でしょう(宇宙兄弟・星加正)
※最初の2,3巻ほどですがネタバレあり
面接や口頭試問などに行く前、私はいつも宇宙兄弟の“あるシーン”を思い出す。
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宇宙兄弟の主人公・南波六太(ナンバムッタ)はJAXAによる宇宙飛行士選抜2次試験を受験していた。しかし、過去に働いていた自動車会社で上司に暴力を振るった事実を、その上司によってJAXA職員たちに言いふらされてしまった。これにより六太は精神面が不安視され、あとがない状況となっていた。
↓六太が上司に頭突きしたシーン
ただJAXA職員で唯一、星加正だけは南波六太を支持した。その理由は、星加さんは幼少期の頃から毎日のように宇宙に興味を持ちJAXAに遊びにくる六太と弟・日々人をいつも見ていたからである。いつしか星加さんはそんな兄弟が揃って宇宙飛行士になることを夢に見て、心を躍らせていた。弟・日々人はすでに宇宙飛行士。そして六太が選抜試験に挑みにきた。星加さんにとっては、何としても六太を宇宙飛行士にしてあげたかったのだろう。実際作中で、星加さんはJAXAの他職員に、六太を推薦する理由として次のように言っている。
素敵でしょう?当然、宇宙飛行士候補者それぞれの性格や技能のレベルはしっかりと見極めるべきである。ただその上で適正レベルがほぼ同等である候補者が2人いて、1人を選ばないとけないとすれば、あなたはどうしますか?
星加さんは“情”を優先すると言った。その一方で“情をはさむなってんならパソコンにでも決めさせりゃいい”と言っている。要するに、各候補者の性格や技能などを全て点数化して、僅差だったとしても単純に点数の高い人を選ぶということだ。この選抜方法なら、上司に頭突きをした六太はかなり減点され、落選は間違いなかっただろう。
しかし、星加さんは心の中にある“六太と仕事がしたい”という情を信じた。不安視されている六太の精神面も、全く試験中には見られなかったからである。そのことから、六太が元上司に頭突きしたのには何か重大な理由があるのだと信じ、六太の元同僚たちから頭突きの真相を調査し、聞き出したのだった。
すると、その上司は宇宙飛行士である六太の弟・日々人を侮辱したのだった。それに六太は我慢ならず頭突きしたのである。JAXAに所属する日々人を守るために六太が頭突きしたのであれば、それをJAXA職員は悪い意味には捉えないだろう。こうして結果的に、六太は二次試験を突破できたのだった。
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いつもこのシーンを思い出しては、
「あぁそうだ、背伸びした態度で(点数を上げようと)面接に臨んだところで試験官には見透かされる、今の自分をありのまま見せたほうが、コイツいいなーって(情で)思ってもらえるはずだ」
と自分に言い聞かせている。
この考え方が絶対に正しいという根拠は全くなく、多少の背伸びは時によっては必要であるかもしれない。ただ、上辺を撫でて本末転倒になるくらいなら、ありのままの自分で臨んだほうが面接官の“情”を掴み取り、良い結果が見えてくるのでは?と私は思う。