【東北2つの世界遺産】その2. 白神山地 〜日本の世界遺産条約締結にも関わった大自然〜
こんにちは、kpilglimです。
前回は、東北地方で唯一の世界文化遺産「平泉」について紹介しました。
本日は、東北地方で唯一の世界自然遺産である「白神山地」について紹介します!それでは早速参りましょう。
遺産の基本情報
種類:自然遺産
登録年:1993年(屋久島とともに日本初の自然遺産に登録)
登録基準:(ⅸ)
大きさ:約170㎢(白神山地全体1300㎢のうちの一部)
登録基準(ⅸ)について簡単に説明すると、「何らかの生態系の進化・発展において重要な、現在進行中の生態学的・生物学的過程を代表する顕著な見本」ということを意味しています。
ちなみに、日本の自然遺産4件(白神山地・屋久島・知床・小笠原諸島)は全てこの登録基準(ⅸ)を満たしており、日本の生態系がいかに多様であるかを示していますね!
山地に広がる原生林
さてみなさん、白神山地といえば何を中心とする落葉樹の原生林が広がっているかご存知でしょうか?
正解はブナです。なんと約8000年前には、現在の分布域に達していたと言われています。その原生的な状態が今も残っていることが評価されています。
ブナについて、もう少し深掘りしましょう。
- 落葉広葉樹
- 高木(20m以上にもなる)
- 寿命:200~250年
- 現在世界に分布する種数:約10種
- 日本のブナの種類:ブナ(本種)、イヌブナ(白神山地はブナ(本種))
- 日本以外での分布:ヨーロッパ、北アメリカ
ブナの分布についてですが、氷河期にヨーロッパや北アメリカでは大きく分布を変えました。これが影響し、生物多様性が失われていきました。しかし、日本のブナ分布地域は氷河に覆われることがなかったため、ブナの原生林に息づく生物多様性が非常によく保たれています。
また、かつて日本では、全国各地にブナ林が見られました。しかし、現在はここまで大規模なブナの原生林が見られるのは、白神山地だけとなっています。一体なぜでしょうか?
用材や薪炭材として用いられるために、伐採が進められたからです。そのため、ほとんどが人工林や二次林(人為的、もしくは自然的に破壊されたのち、自然に再生した森林)となっているのです。
逆に、白神山地が原生林として生き残れたのは、人の居住地区から離れており、地形が急峻だったことが挙げられるでしょう。
豊かな生態系
ブナを中心とした落葉広葉樹林は、分厚い落ち葉の層を形成します。これは「緑のダム」と呼ばれ、 水分と豊かな土壌を作ります。
この緑のダムは、以下のように豊かな生態系を育みます。
現在も続く隆起 −サガルマータ国立公園との関連性−
この地域は、約250万年前までは一部が海中にあったとされています。そこから急速な隆起により山地ができたとされています。日本列島ではかなり速い年間約1.3mmという速度で隆起が始まり、今もなお続いているのです。
”隆起を続けている”として世界的に有名なものは、世界最高峰エヴェレストを有する世界遺産「サガルマータ国立公園」があります。
約4500万年前にインド亜大陸がユーラシア大陸に衝突することで、海底が隆起し形成されたものがヒマラヤ山脈です。このヒマラヤ山脈も白神山地と同じように、今なお毎年数mm~数cmほど隆起を続けているのです。
日本の世界遺産条約締結を導いた
世界遺産条約は、1972年に開催された第17回ユネスコ総会で採択されました。しかし、日本が世界遺産条約に締結したのはその20年後の1992年のことでした。
この締結に大きく関わったのが、白神山地だったのです。その経緯について見ていきましょう。
先ほど、日本各地のブナ林が用材・薪炭材などのために伐採されたと言いましたが、やはり白神山地のブナもその危機はあったようです。
1970年代、白神山地のブナ活用を目的とした青秋林道の建設計画がなされました。これに対して、青森県を中心とする全国の自然保護団体が立ち上がったのです。その結果として白神山地のブナ林は守られたのです。
この「保護」の考えから延長されて、日本にも世界遺産を作る動きになっていったそうです。(世界遺産条約の主な目的は「遺産の保護」ですからね^ ^)
そして、日本が世界遺産条約を締結した翌年の1993年、
- 法隆寺地域の仏教建造物群(文化遺産)
- 姫路城(文化遺産)
- 屋久島(自然遺産)
- 白神山地(自然遺産)
の4件が日本初の世界遺産として登録されたのです。
まとめ
今回は、白神山地についてまとめてきました。世界最高峰のエヴェレストと関連があること、日本の世界遺産条約締結に関わっていたことなど、皆さんご存知でしたでしょうか?!少しでも初耳なことがあれば嬉しいです。
それでは、最後まで読んでくださりありがとうございました^ - ^