ブラックホールとは。ノーベル物理学者キップ・ソーンも尽力したSF映画「インターステラー」
※大学は物理学科出身、大学院は航空宇宙工学専攻の私が、「ブラックホール」とそれに関連した映画「インターステラー」を簡単に紹介します。
さてみなさん、ブラックホールと言われたら「吸い込まれそう」や「光をも飲み込んでしまう真っ暗な天体」、「結局よく分からない」など様々な意見があると思います。
正直なところ、まだ人類は完全な解明には至っていません。
しかし、とてつもなく重力が強い天体であることは確かです。その理由を1つの簡単な数式で理解してみましょう。その前に以下の図を見てみてください。
ある天体の地表に豚さんがいて、その豚さんに重力がかかっています。私たちが地球から引っ張られているのと同じですね。このときの豚さんにかかる重力の大きさはどのように表されるのでしょうか。
正解は、万有引力の式
で書くことができます。
簡単だと思います。豚さんの質量が変わらないとすれば、
- 天体の質量が大きければ大きいほど
- 天体の半径が小さければ小さいほど
豚さんに働く重力は大きくなります。
どうでしょう、ここまで言うと分かっていただけたでしょうか。「ブラックホール」とは、質量がとてつもなく大きく、その割に半径がものすごく小さい、要するに密度がありえないほど大きい天体ということになります。
実際、太陽くらいの質量(地球の約30万倍)でブラックホールになるためには半径数キロ程度、地球の質量でブラックホールになるためにはビー玉ほどの大きさにしないといけないようです。ブラックホールの密度が物凄いことがよくわかると思います。
ブラックホールの研究をしてきた人たち
みなさんもよくご存知のアインシュタインは、1916年に発表した一般相対性理論で非常に有名ですが、これがほんとにすごいものなんですね。「宇宙ってこんなもんだろう」っていう想像から、宇宙を正しく記述する方程式を導き出しました。私も時間に余裕があれば少しずつ勉強してみていますが、長いし難解すぎて終わる気配がありません...www
(宇宙項の導入がアインシュタインの人生最大の失敗だったなど、面白い話はいくらでもありますが、ここでは省きます。)
アインシュタインの偉大な功績を受け継いで研究している人の1人にキップ・ソーンという物理学者がいます。彼もすごい人で、アインシュタインが生涯どうしても発見することのできなかった「重力波」を2015年9月14日に発見し、2017年にノーベル物理学賞を受賞しました。
アインシュタインが一般相対論を発表してちょうど100年後に重力波が検出されたので、とても盛り上がっていましたね。
(ちなみに、キップソーンの学問の師匠ジョン・ホイーラーが「ブラックホール」の名付け親です。)
キップ・ソーンが監修した映画「インターステラー」
ここまでブラックホールや一般相対論について語ってきましたが、その物理に基づいた非常に興味深い映画があります。
それがインターステラーになります。
なんとキップ・ソーンもその制作に関わっていて、作中に出てくる黒板に書かれている数式は、キップ・ソーン自身が書いたものらしいです!
時は近未来、植物の枯渇・異常気象により、地球外の居住可能空間を探し求める話になります。その際に、一般相対論やブラックホールの話が出てきて、ものすごく深い作品になっています。
人が歳を取らないように保存しておけるカプセルも登場して、SF感は満載なので普通に面白いです。
この予告は、インターステラーの面白さを伝えきれてない感がありますが一応予告を貼っておきます。w
是非一度見て欲しいなと思う映画なのですが、なんと、そのキップ・ソーンが映画「インターステラー」中における物理学の解説をしている本が出版されています!
Amazonのレビュー的には数式で難解!ではなく、映画のシーンや図解もあり読みやすいそうです!
私も物理学科出身としては読まねば...w
まとめ
宇宙について天才たちがどのように解釈してきたのか、興味のある方はぜひ映画を見てみてください!そしてさらに詳しく知りたい方はぜひノーベル物理学者キップ・ソーンの本を読まれてみてください!
それでは^ - ^